五色ヶ原から薬師岳
      の花を訪ねて 
 
     平成17年8月6日〜9日
         掲載日:2005年8月16日
 *下記の写真はクリックすると大きくなります。

鬼岳と後方は立山

リンネソウ

蔦山

薬師岳
 8月6日。信州大町の扇沢からバス、ケーブル、ロープウエイ、バスを乗り継ぐと、立山の室堂は人が溢れていた。一の越までの遊歩道も団体や家族連れの登山客が絶え間なく続く。

 龍王山から五色ヶ原方面へ向かうと人も少なくなり、色とりどりの花が目につく。鬼岳の先で大きな雪渓を横切り、チングルマ、ミヤマキンポウゲや青紫のミヤマリンドウに心が惹かれる。ハクサンイチゲ、ヨツバシオガマやネバリノギランなどを見ながら獅子岳に登ると、下方にザラ峠が見える。急な下りで意外に時間がかかったが、ザラ峠は一休みする格好の広場だ。

 緩やかに登り、広い五色ヶ原の端にでると、木道の両側は百花繚乱のお花畑で疲れも癒される。ハクサンコザクラ、コバイケイソウの群落の美しさに驚き、五色ヶ原山荘に着いた。

 7日。朝陽をあびて出発。五色ヶ原から戻る人が多く、縦走路は静かで時々小人数のパーティが追い越して行く。一息ついて見下ろすと五色ヶ原が一望できる。沢山の池塘が空の色を写して箱庭のようだ。 鳶山の下りにはハイマツの下に可憐なリンネソウが咲いていた。アップダウンを繰り返して越中沢岳の山頂を踏む。スゴの頭を下り、スゴ乗越しから樹林帯の中をかなり登りスゴ乗越小屋に着いた。

 8日。昨夕の雨で所々水溜りが出来たが、歩き易い道で高度を上げ、広々とした頂上の間山に着く。黒部川を挟んで、赤牛岳、裏銀座の山々、その向こうに槍の穂先が天を突く。

 ミヤマコゴメグサが咲き誇り、しばらく緩い登りが続いたあと、岩稜の丸印を頼りに北薬師岳に着く。岩場をよじ登るとナイフエッジの岩稜で、両手でしっかり岩つかみ慎重に進む。10mほどだが、このルートが今回一番の難所であった。通過すると薬師岳はすぐだ。

 薬師岳山頂には薬師如来を祀るお堂がある。安全祈願をして太郎平小屋に向かう。薬師岳山荘で休憩し、キャンプ場を通過、太郎兵衛平の整備された木道を歩き小屋に着いた。

 9日。美味しい朝食を頂き小屋を後にした。優美な稜線を描く北ノ俣岳を背に歩く。木道の両側には植生保護の網が張られ、左手の斜面には群生するキンコウカが朝陽に輝き美しい。三角点からは剣、立山に続いて、一昨日歩いた越中沢岳が見えた。イワショウブが風にそよぎ、ツルリンドウ、ツルアリドウシなどを見ながら樹林帯を抜け折立に下山した。

 長く壮大なアルペンムードを愉しみ、色とりどりの美しい花にも出会えた。北アルプスの山々を眺めながら、夏山の醍醐味を堪能し、充実した4日間だった。(作成者 伊東敬子)

 *上記に記載した以外に出会った花々
 アオノツガザクラ、イワカガミ、イワツメクサ、イワギキョウ、イワオトギリ、イワイチョウ、ウサギギク、ウメバチソウ、ウスユキソウ、エンレイソウ、エゾシオガマ、オヤマソバ、キヌガサソウ、クルマユリ、クロユリ、コメツツジ、コメススキ、ゴゼンタチバナ、コイワカガミ、シラネニンジン、ズタヤクシュ、タカネツメクサ、タカネヤハズハハコ、タカネウラジロイタドリ、タカネセンブリ、タテヤマウツボグサ、ツガザクラ、ツマトリソウ、トウヤクリンドウ、ナナカマド、ニッコウキスゲ、ハクサンチドリ、ハクサンフウロ、ハクサントリカブト、ハクサンシャクナゲ、バイケイソウ、ミヤマダイコンソウ、ミヤマホツツジ、ミヤマクワガタ、ミヤマアキノキリンソウ、ミヤマダイモンジソウ、ミヤマキンバイ、ミヤマカラマツ、ミツガシワ、ミズホウズキ