山旅の記録
(シニア百006)

    伏美岳  −日高の山を一望する頂き− 
    日程:2013年8月20〜23日 
      (掲載日:2025年10
月20日)


登山口にて

伏美岳の山頂

山頂よりカムイエクウチカウシ

山頂より幌尻岳

伏美小屋にて

 *写真はクリックすると拡大します。 


 新千歳空港でレンタカーを借り、芽室に入って今宵の食材などを仕入れる。前にはなかった「伏美岳⇒」の青い道標が電柱などに付けられていてまことにありがたい。地元の伏美岳への深い思い入れが覗えた。伏美小屋に着いたのは15時ころ、着くのを待っていたように激しい雷雨があった。野菜たっぷりのジンギスカンにポテトサラダ、カボチャサラダなどで前夜祭をする。
 
 2日目、4時8分に全員起床し、雑炊とお手軽餅の朝食をとる。片付けを終えて、伏美小屋を出発したのは5時23分になった。伏美岳まで標高差にして1,062m、気を引き締めてかからねばなるまい。身支度を整えて登山口をあとにしたのは5時32分。少し下り、ほぼ平坦な道を行くと一投足で小沢を渡る。すぐに尾根への登りが始まった。初めは緩やかだが、次第に傾斜を増して行く。トドマツとダケカンバの樹林を歩くので展望はない。下ザサが煩いほどではないのがありがたい。
 伏美岳とピパイロ岳の登山道を開削した芽室山の会の標識が、三合目、五合目、七合目、九合目と奇数合目毎に設けられていた。三合目に着いたのは6時35分。すでにすでに1時間を経過している。攣り防止に胡瓜2本を分けて食べた。あたりはダケカンバの樹林が広がっている、巨樹も混じっていた。
 五合目には「山頂まで1.6km」とあったが、ここからが長かった。とくに七合目から九合目の間が長く感じられた。実際には五合目7時42分、七合目8時41分、九合目9時35分と大して差はなかったのだが。合目毎に一本立てた。
ハイマツとミヤマハンノキが現れると頂上は近い。 妙敷山への稜線(登山道はないが)がほぼ同じ高さに見えた。伏美岳山頂に飛び出したのは10時丁度だった。登頂を祝福してお互いに握手を交わした。

 山頂に立つと、最高の展望が広がっていた。南に妙敷山、北にトムラウシ山が近い。西に眼を転ずると、屋根型のピパイロ岳が眼前に見える。だがそこに至るにはいくつもの小ピークを越えなければならず、往復するのにコースタイムで6時間20分もかかる。ピパイロの先に、北戸蔦別岳、鋭鋒の戸蔦別岳、さらに奥に膨大なマッスの日高の盟主、幌尻岳を望むことができる。幌尻岳から左に、久恋のエサオマントッタベツ岳(北海道の岳人はエサオマンと呼ぶ)が北カールを懐にすっくと立っている。その奥にはひときわ高いカムイエクウチカウシ山(カムエク)が頭を覗かせている。さらに左(南東方向)に眼を転ずると、カムエクとヤオロマップ岳の間に、秀麗な三角錐が見える。これまた久恋の1823峰、その右隣にこんもりとして見えるのが曾遊の1839峰だ。 
 大展望を十二分に楽しみ、山頂を辞したのは10時45分。登山口に戻ったのは14時34分だった。下りは慎重に歩いたこともあり、4時間49分とコースタイムの倍以上、登りの4時間28分よりも時間がかかった。だが何ごともなく全員無事下山できたのだからよしとしよう。                             
                                                          (記 山本 進吾)