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一昨年から精力的に登って来たシニア百山もいよいよ完登することになった。完登の山、として訪ねるのが僧ヶ岳。かつて出張で黒部川河川敷にある富山空港に下り立ったとき、雪白の僧ヶ岳を見た。立山かと勘違いしていたが、取引先の山好きな人から僧ヶ岳だといわれ、その秀麗な姿に魅
かれていつも気になっていた山だ。いよいよその頂きに立つことができると思うと感激も一入である。
前夜は黒部のホテルに宿泊し5時少し前にホテルを出発。第三登山口の駐車場に着いたのは6時15分だった。この先で道路の崩落があり、小広い路肩に車を停めて歩き始める事にする。車道を上り加減に歩いて烏帽子尾根コース登山口に着いたのは7時3分。ここの標高は1280m、標高差は575mである。若いころなら2時間であろうが、もうそうは行かないだろう。
ギボウシが咲く登山道を緩やかに登る。第三登山口が初手から急な崖を登るように見えたので、これはありがたい。「1350m」標柱を35分で通過した。モミジカラマツがたくさん咲いている。傾斜を増す道を喘ぎながら登り、50分ほど経ったところで一本立てた。前日に畑で収穫したトマトを腹に収める。
第三登山口からの宇奈月尾根コースとの合流点に着いたのは8時26分。しっかりした道標があるので、帰りに迷うことはない。シロバナタカネニガナやギボウシ、オオカ
メノキ(ムシカリ)、オトギリソウ、ミヤマカラマツなどが咲き乱れる道を行く。まだまだ先の仏ヶ平にお花畑があるとパンフレットにはあるが、ここをお花畑といっても誰も文句はいうまい。
宇奈月尾根コースとの分岐に出た。左にとれば宇奈月尾根コースだが、長いロープが懸けられ通行止めのようにも思えるので、右の烏帽子尾根コースをとることにした。少し先にトラロープが下がっている急登がある。真新しいロープだ。7月28日に黒部市役所が山開きをしたようなので、その名残りであろう。
前僧ヶ岳には9時27分に着いた。山名標識もなく、道標には前僧ヶ岳と僧ヶ岳が併 記されているので、まだ先かとも思ったが、結局それらしいピークはなかった。「僧ヶ岳本流コース山開き法要」の木碑が立っている。さすが僧ヶ岳、山開きには僧侶が同行
するのであろうか。背の低いシモツケソウがピンクの花をたくさん咲かせている。その先 が広い平地となっている。仏ヶ平のお花畑であろう。私は「シモツケヶ原」の方がぴったりくるように思えた。シモツケソウのほかにウメバチソウ、ヤマハハコ、タカネニガナ、シロバナタカネニガナ、ギボウシ、フデリンドウ、ミヤマホツツジ、モミジカラマ
ツなどが咲き乱れていた。
最後の登りにかかる。すれ違った登山者にあと100mといわれたが、なるほど一投足で山頂に立つことができた。10時7分。パンフレットのコースタイムは2時間30分だが、私たちは3時間4分かかった。まあまあ善戦したと言えるだろう。二等三角点標石と土台付きのどっしりした山名標石がある。これは魚津市が建てたとあった。万歳を唱えて同行頂いた山仲間、家人と握手を交わした。標柱石の上の山名盤で山座同定をしたいが、北駒ヶ岳と駒ヶ岳以外は明瞭でない。晴れていれば駒ヶ岳の右奥に鹿島槍ヶ岳、さらに時計方向に毛勝山、白馬岳、白山などが居並ぶ姿を眺めることができるようだが、残念ながらその望みは叶わなかった。
(記 山本 進吾)
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