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名鉄可児川駅に集合し、登山口の大脇駐車場に着いたのは10時前。身支度を整えて歩き始めたのは10時8分だった。国道41号のガード下を潜り、菅刈川を渡るとよく手入れされた登山道を行く。ワンピッチで小天神のルートを右に分け、パノラマルートに入った。以前は「左パノラマルート危険箇所有り」という標識があったそうだが、今は撤去されている。パノラマというだけあって展望はよいが、すごい急登である。岩を掴み木を頼りに急登に耐えるが、高度感抜群で高所恐怖症の私には脅威だった。
岩が層をなして露出している。地学に詳しい仲間に聞くとチャートだと教えてくれた。帰って『シニア百山』を紐解くと、「この山塊は、地質的に2億5千年前から1億5千年前までに、堆積した砂岩とチャートからなっている。稜線には浸食され難いチャートが露出している。チャートは、日本の堆積岩地帯ではよく目にする岩なので、この際覚えておくのも無駄ではあるまい。半透明の固い岩で何層にも重なっている。色は薄ねずみ色が多いが、赤っぽかったり緑がかったりもする。これは海に住む放散虫という1㎜以下の小さなプランクトンの殻が海底に積もってできた岩なのである。なにせ小さな殻なので2㎝積もるのに、たとえば1万年ほどもかかる。」とあった。ここに見えているチャートは2億年ほど前のプランクトン、マリンスノーが堆積したものだそうで、褶曲によって曲がりくねっているところもある。ほかにも泥岩や海中火山の灰からできたものなども説明を受けた。鎖場をクリアするとやっと厳しかった急崖の登りも終わった。灌木を搔き分けるようにして登ると、縦走路に飛び出した。
真禅寺ルートとの分岐である。右にとると、一投足で鳩吹山の山頂に立った。11時10分。三等三角点標石と山名表示盤がある。前回ほどの大展望は得られないが、笠置山が特徴的な山容を見せていた。名古屋勤務時代ホームコースの明世カントリーで何度も眺めていつかはと思った山だ。眼下に木曽川が蛇行し、美濃加茂市の市街が広がっている。飛騨川と木曽川の合流点の手前にダムがある。地元の山仲間によると揚水発電で水位の変化が大きい木曽川の流れを一定にするため設けられたダムで、逆調整池というのだそうだ。
少し先の展望地では白山と大日ヶ岳を望むことができた。稜線を行き、西山、継鹿尾山方面の道標に従い下る。舞台のように見えたところが西山かと思ったが、とんでもなかった。さらに喘ぎながら登り返したところが西山休憩舎だった。ここで昼食休憩とする。
食後、背後の西山(両見山)山頂に登る。標高339.9mと鳩吹山より26.4mも高いのに山名標識も何もない。ただの通過点だった。北廻りルートに入る。なおもアップダウンをこなす。手強い山である。とても300mの山とは思えない。鞍部に下ると、木橋があった。水場となっている。石原登山口を過ぎ、鳩吹山に戻ったのは14時9分。大脇ルートを下る。こちらは登りで歩いたパノラマルートと打って変わって歩き易い道だった。
小天神分岐を左に分け、大脇駐車場に戻ったのは15時5分だった。ほぼ5時間のハイキング、地元の山仲間の案内のおかげでスリルも楽しむことができ、新しいルートを歩くことができて幸せだった。
(記 山本 進吾)
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