山旅の記録
(シニア百088)

    白髪山  −信仰の頂に登る
    日程:2012年12月13日  
      (掲載日:2025年10
月20日)


白髪山の登山口

登山道を進みます。

白髪山の山頂にて。


 *写真はクリックすると拡大します。 


 本山町にある白髪山(奥白髪)の登山口は遠い。井川池田インターから徳島道、高知道を走り、大豊インターを出て、国道430号、県道6号を走り、奥白髪温泉跡から奥白髪林道に入った。これが悪路で、随所に水切りがしてあり、プリウスはたびたび悲鳴を上げた。7.4キロのうち5キロ辺りでついにギブアップし、登山口から折り返してくれた山仲間の車(ランドクルーザープラド)に3人が移乗して登山口へと向かった。

 白髪山は「新・分県登山ガイド」によれば、「本山町の北側に大きな嶺を見せる白髪山は、古くから信仰の山であった。人々は、峨々たる大岩が白く輝くこの山を仰ぎ、神々の住む「白峨山」とよんでいたが、白髪の農耕神・猿田彦神を山霊として奉ったことから「白髪山」の字をあてるようになったと伝えられる。」とある。この大岩が曲者だとすぐ悟ったが、それまでも大変だった。
駐車場から林道を行くとすぐ先に水場がある。ビール2缶をデポして一投足で登山口へ。登山口の道標が2つあり、金属板の方は山頂まで2km、木の方は1.5kmとある。どちらが正しいのだろうか。短い方であれば嬉しいのだが。
 谷を渡り、すぐ上で折り返す。ササの煩い木の階段道を行くが、足元は滑りやすい岩や木の根でとても歩きにくい。慎重に足許を確認しながら歩いた。「山頂まで1080m」標識を始めとして「870m」、「500m」「0.2キロ」とこまめに道標が出て来る。「870m」にはベンチがあった。合羽のズボンを穿いている人は座って休むが、私は短パン姿なので立って休んだ。
 
 ホンシャクナゲが現われると本格的な岩の道となった。四肢を動員して急登する。避難小屋が現われたが、崩壊が激しくとても使い物にならない。すぐ上で一本立てた。「500m」標識で行川登山口からの道を合せる。少し先で涼しい空気が感じられた。「左に風穴あり」の標識があり、見上げるとなるほど風穴からミストが流れ出していた。とても涼しい。一休みしたいところだが先が長い。そのまま通過した。
 木の階段が現われるとほっとする。「0.2キロ」標識を過ぎると、岩場の登りとなった。巨大な岩峰が立ち上がっている。どうして登るのだろうと思うばかりだが、蛇紋岩の岩場は乾いてフリクションが効き、案外容易に突破することができた。木々をかき分けるように行くと山頂は近い。それにしても虫が多い。私は農作業用ネットを被ったが、それでもネットの上から耳を刺された。三等三角点標石に挨拶すると、小広い山頂広場に向かった。晴れていればあたり一面に白骨樹が林立する様が見られようが、遺憾ながらガスの中。きびす山や早明浦ダム、吉野川などの大展望も楽しむことは叶わなかった。

 昼食休憩のあと来た道を忠実に戻るが、滑りやすい岩の道とて登り以上に時間がかかる。雨まで降って来た。「870m」標識から先は、速足組に先行してもらった。速足組は私たちより20分も早く下山し、涼しい顔で車内で待っていた。冷えたジュースを山仲間からいただく。何よりのご馳走だった。ビールは同行した仲間に渡した。無事登頂を祝ったのだろうか。                
                                       (記 山本 進吾)