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前日に登った大座礼山がブナの巨木なら千本山はスギの巨樹がウリである。魚梁瀬杉は秋田杉や吉野杉と並び称され、日本三大美林を形成している。日本有数の温暖多雨地域で樹木の生育に適した土地だけに、江戸時代は御留山であった。現在も国有林である。おかげで伐採を免れている。樹齢二百年から三百年の巨樹が山名通り千本以上も空に向かって並び立つ姿は壮観である。鉢巻落しはあまりの高さに見上げた人の頭から鉢巻が落ちたということから来たとのこと。
魚梁瀬貯水池の奥に向かい、西川渓谷沿いに30分ほど行くと、登山口だった。トイレもある。7時12分、出発する。吊橋を渡ると、すぐスギの巨樹が現われる。林野庁の「森の巨人たち百選」に選ばれた「千本山橋の大杉」で、樹高54m、幹周り6.8メートルもある。木の階段道を行く。雨に濡れて滑りやすそう。慎重に登る。
遊歩道には「サカキ」「タブノキ」「ヤブツバキ」「ツクバネガシ」「ヤブニッケイ」「アサヒカエデ」「ツルシキミ」「ミツバツツジ」「ヤハズアジサイ」「カゴノキ」「ヒサカキ」「イヌツゲ」「アセビ」などの標識が次々現われ、一々確かめながら歩いた。親子杉には7時58分に着いた。胸高胴回り6m、親子ほど違う木が2本くっついて立っている。ベンチも置かれ休むによい。
巨木が林立し見上げるのも容易でない。のけぞると鉢巻が落ちたという鉢巻落しを8時27分に通過する。傘杉堂には8時36分に着いた。近くに展望台があるが、曇り空のため山並みを覗うことはできなかった。
ざらざらのトラバース道が始まる。すぐ先に雨量観測所がある。人気はない。「特46−29特別母樹林農林省」の標識がある。学術参考林として育樹が行われているというから、その母樹たちかもしれない。「26−○○」と番号が振られているから、一本ずつ管理されているのだろう。
長いトラバースを終えて鞍部に下り、主稜線に乗る。小さなコブを2つ越えた先に、ひょっこりという感じで山頂が現われた。樹林に囲まれ展望は得られないが、三等三角点標石があった。
今回の四国の山旅では四国の山仲間にすっかりお世話になった。お盆休みで東京からお嬢さん家族が帰省しているというのにずっと泊まりを付き合っていただいき、山も案内していただいた。おかげで四国のシニア百山をすべて登ることができた。いくら感謝しても足りない。ありがたいことである。
(記 山本 進吾)
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